大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(行ナ)124号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

本件審決は、以下に説示するとおり、原告主張の点において判断を誤つたものというべく、違法として取り消されるべきものである。すなわち、本願実用新案(編注、図面参照)が、その構造のうち、釘杆5の上部を拡大してやや逆三角状の鍔部7を設け、その上面に狭搾部8及び拡大した固定面9を設けて断面工字状とし、この狭搾部8を取付子(固定子)1の中部に設けた釘孔6に固着した点において引用例と相違すること及び金属鈑に金属杆を取り着けるに当たつて、金属杆の差込み取着部を細くしてそこに段部を設け、その差込み取着部を金属鈑の穿孔に段部まで挿入し、差込み取着部の頭部を打撃してかしめつけ、頂部に拡大した固定面を設けてその部分の断面を工字状とすることは極めて周知の技術手段であることは、原告の認めて争わないところであるが、本願実用新案における前記引用例との相違点と右周知技術とは、その構成及び作用効果において、著しい差異があるものといわざるをえない。右周知の技術は、<書証>によつても明らかなように、金属鈑と金属棒とを結合する方法として、金属鈑に挿入すべき金属棒の先端部分を金属棒本体より細くして段部を設け、その挿入すべき先端部分を金属鈑の穿孔に段部まで挿入したうえ、その挿入部の頭部を打撃してかめつけるものであるが、本願実用新案においては、釘杆(周知技術の金属棒に相当する。)の上部に逆三角状の鍔部を設けることにより、差込み取着部の釘杆の太さを釘杆本体の太さとほぼ同一とすることができ、これにより、釘杆と金属鈑との結合をより安定かつ堅牢ならしめて、建物への取付に際し、打込みの衝撃に耐えうるものとするとともに、釘杆本体の太さを建物に取り付けるに適する太さとすることができるものであることは、その構造に徴し、見易いところであるから、この点に関する本願実用新案における技術と前記周知技術とは、その構造及びこれに伴う作用効果において相違し、したがつて、その技術的意義を異にするものと認めるのが相当であり、これを左右するに足る証拠資料はない……。

叙上のとおり、本願実用新案における釘杆の金属鈑への固着の技術手段は、本件審決が引用した周知技術と比較して、その構成及び作用効果において独特のものを有するのであるから、本願実用新案をもつて、引用例に基づきこれに右周知の技術手段を施すことにより当事者の容易に実施しうる程度のものとすることはできない。本件審決は、前記の点に関する本願実用新案と右周知技術との相違を看過誤認し、両者を同一技術であると速断したものといわざるをえない。

(むすび)

四 よつて、原告の本訴請求を正当として認容する。(三宅正雄 杉山克彦 楠賢二)

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